古書店街の橋姫と副読本の感想
古書店街の橋姫の存在をちょこちょこ聞いてて、どんなもんだ!ってプレイしたら、本当面白かった!!
しかもこのゲーム同人作品なんだって!!意味わかんない!!作者天才すぎるでしょ……
あと、安い!!手軽にプレイ出来る!!
値段について話すのは本当は良く無いとは思うし、作者が決めた値段でいいと思うんだけど、このゲームボリュームとか考えるとめちゃくちゃ安いので、気になった人は是非プレイした下さい!!
↓↓↓↓以下感想(ネタバレ有り)↓↓↓↓
あらすじ
帝大を目指す浪人生の玉森くん(主人公)は趣味の小説を書きながらダラダラ怠惰に日々を送っていた。
そんなある日幼馴染の水上が突然死する。警察からは自殺だと言われたが、どうしても信じられない玉森くん。事件の真相を確かめようとする中で、タイムスリップする能力があることに気づく。そのに力に翻弄されながらも奔走する------
水上√
玉森くんの幼馴染で帝大生。穏やかでのんびりしたキャラクター。病的な読書家で常に小説を持ち歩く。玉森くんの作品のファンで有り、作品を執筆するたびに絶賛する。
そして!!運命の相手枠!!!
橋姫はほぼ√固定で、水上を一番最初にプレイすることになるんですが、初回に運命の相手をプレイすることになる!!
この手のキャラクターって大体√制限があって大トリを持ってくるものだと思うけど、一番最初固定ってなかなか無いよね……
本当にこの采配がすごくて水上をプレイしたことで他の√の感じ方が変わるし、味が出てくると思う。
初回で如何に水上が玉森のことが好きで、玉森の為を思って行動しているかを知ってから他の√プレイすると、水上の気持ちを考えて辛くなる………でも、そこがイイ!!!
このなんとも言えない切なさやほろ苦さが、この作品の味だと思う。
水上、のほほんとした見た目から想像出来ないほど意思が強くて、本当すぐ死ぬ。
びっくりするぐらいすぐ死ぬ。
自殺マシーンかなってぐらいすぐ死ぬ。
玉森くんと一緒に水上を生きさせる為にどうすればいいのか本当に頭抱えた………
さらに、すぐ嘘つくし。初回、ほんとに何がしたいかわからなかった。
やっっっっっと想いが伝わってエロシーンに入った時、達成感で涙が出てきた……。
玉森くん良かったね…頑張った甲斐があったよ!!!!!
捌の世界で水上が橋姫の存在教えてくれたの、玉森くんの熱意に圧されてかと思ったけど、水上!お前!玉森くんに橋姫憑いてなかったからだろ!?
この時の水上のズルいところは、存在は教えても、取り戻す方法は教えないところだよな!お前はそういう奴だよ!!!
玉森くんが小説を書くのは水上の気を引きたかったたんだろうな。
基本、水上は玉森に対して肯定的で褒めてくれるし、行動のほとんどが玉森で出来てるんだろうけど、玉森が唯一踏み込めないの読書だったんだろうな。
自分に執心の水上が唯一心を傾けるモノが読書で、嫉妬したんだろうな。
まあ、その読書(小説)が自殺の引き金になるから切なくなる。
水上が読んだ小説すごく気になる。
自殺の後押しになる。この世に未練が出来るほどの、作品。
あれは、書いた作者の最後のサヨナラの手紙であり、ラブレターであるんだろうな……。
川瀬
玉森くんの幼馴染で帝大生。潔癖症で毒舌だけど、顔がいいので許されている。玉森くんの小説をこき下ろし、玉森くんをからかうのが趣味。
川瀬、声素晴らしくない………??
あの掠れた抑揚の小さなテイストで、よくあんなに表現豊かにキャラクターの心理描写を表現できるんだろう……マルクスさん凄い………
川瀬、太々しい態度から想像出来ないほど幸薄い。
実の親からの虐待や養父の殺害。
こうも親権者が変態であること無いよ……
変態の引きが強い………
川瀬あんな態度だけど、攻略対象の中で一番感性がまともだよね…罪の意識があるというか。
他のキャラはしょうがないって割り切れそう。水上が悔やんでるんは、母親を「玉森から」奪ってしまったからであって、玉森くんが必要として無いものなら、すぐ割り切れそう……
くそったれの人生の中で玉森くんだけが、美しく映るんだろうな。
唯一綺麗な存在な玉森くんは安らぎだったんだろうな。
ベットのシーンで、「怪奇小説を楽しめたら水上みたいに玉森くんと同じように楽しめたのかな」(ニュアンス)ってセリフが刺さる……
玉森くんと「同じ」ように楽しめることへの憧れや諦めが滲んでいて切ない。
玉森くんは自分と違うから美しく惹かれるけど、違うことは遠さでもあるから寂しくもあるよね……
でも、そんな川瀬が玉森くんの幻想の世界を一緒に旅出来て、蛙男を共有出来るところが凄く好きなんだよね。
逆に、あんなに玉森くんの幻想の小説が好きなのに、その世界を共有出来ないところが、水上らしいなって。
川瀬√で春彦さんが川瀬になびこうとすると、めちゃくちゃ苦言言ってくるとこ笑える。
春彦さん、みなたま固定過激派だもんね。
花澤
玉森くんの幼馴染。一人だけ年上。みんなの頼れるお兄さんポジだった。
第一印象からだいぶ変わる。本当びっくり。
頼れるお兄さんポジだと思ってた。凄い振り回される√だった。
花澤は「気づかない」キャラクターって印象。
自分の好きな人、好きなもの、やりたいこと。
花澤らしさは玉森くんが先導しないと現れない子なんだなって思った。
玉森くんもアイデンティティが曖昧だけど、花澤もだいぶだよね。
アイデンティティが揺らぐっていうより、抑圧されるって方が正しいかな?
唯一自分らしくいれる、特別な存在である玉森くんの中に自分がいないってわかった、花澤の絶望感凄いだろうな…
まぁ、玉森くん個人よりも軍を優先させる花澤も花澤なんだけどね…
軍しか見えなくなった花澤の目を自分に向けさせる為には、あの方法しか無いんだろうな……
氷、意味深に何度も出てくるから、絶対なんかあると思ってたよ!!
博士
玉森の下宿先の古書店の常連。
挙動不審な様子から玉森から不審者扱いを受ける。
玉森の作品の熱狂的なファンでもある。
博士の声、すごく好きなんですよね。
セリフと声の相性すごくいいな!って感じる。特に博士が興奮してるセリフが好きで、すぐ聞けるようにセーブデータ作りました。
博士って唯一(能面の男を除く)幼馴染じゃない、玉森のアイデンティティに関連しないキャラクターのんですよね。
玉森くん自分のアイデンティティを幼馴染の有能性に置いてる(こんなにすごい友達の私はすごいみたいな感じかな…?)からこの“外”のキャラクターが特別な相手になるって、意味のある√なのかなって印象がある。
玉森くんが川瀬に博士に後ろめたいことがあると教えられて、嫌うのでは無く逆に親近感を持つとこが凄く好きなんですよね。
子供のように無垢で純粋に玉森を支える博士も、自分と同じように傷のある駄目な人間なんだって安心するとこが、玉森くんの自己肯定感低くてクズっぷりが詰まってて。
あと、失明した博士が置いてかないでって玉森くんにすがりつくとこ、めちゃくちゃ興奮した…………
顔がいい綺麗な男が、必死に恥も外聞も関係なくすがりつく姿って良くないですか?
この時の博士が「自分と水上のどこがが違うんですか?」って言うのも本当良かった。
違う√であっても何だかんだ水上の影響は大きくて、玉森にとって水上の存在は深く刻まれている。
水上と同じように玉森の為に何もかも投げ出すことが出来るにの、水上の代わりになれないのはなんで?って他のキャラクターから言わせるの本当に胸に刺さる。
玉森がこの失明した博士を置いて去ることに、最初驚いたけど、よくよく考えれば実に玉森らしいな〜〜って思う。
そもそも橋姫の能力が世界を巻き戻すのでなく、移ることしか出来ない。
イの世界の水上を助けようと行動してたけど、能面を使った時点でイの世界の水上を助けることが出来ない。(正確には自殺した時点)
能力を使うことは、どうしたって「自己満足」にしかならない。
「自己満足」するしかない、この能力本当に残酷。
自分の為に博士がボロボロになることは玉森くんは満足出来ないんだろうな。
玉森くんが他の世界に去る間際に(作品に載せられ無いような)暴言を博士が吐いた理由が、副読本の解説で、玉森くんに自分を刻む為ってところが本当好き!!!ってなった。
博士の夢見がちで純粋で無垢だけど、自分の夢の実現の為に手段を選ばず利己的に行動できるところが本当好き。
最終的に玉森が満足した世界は、水上も川瀬も花澤もいる平和な世界であるところが、いいよね。
友を全て捨てて一人を取った花澤√との対比なのかな?
能面の男
びっくりした!!!
絶対びっくりする。
プレイ後しばらく呆然とした………
よくよく考えれば、夢野久作の話や源氏物語の話で伏線や前振りはしてたと思うけど、そうくると思わなくて本当に驚いた。
副読本の解説を読んで、
作品自体のまとめの√ではあると思うけど、真相√では無いのかな〜〜って感じた。
びっくりした………………
まとめ
キャラクターの感情の表現が本当に美しい作品だなと思う。
こうした方がイイと分かっていても割り切れない。白か黒か選べない曖昧な感情の表現が本当に素晴らしくて、強く惹きつけられる。
この作品のキャラクターは基本的に嘘つきで、心にも無いことや本心を隠した言葉をポンポン言う。
初回は本当にその言葉に戸惑うけど、二週目からは意図が分かるから面白い。
玉森を守る為だったり、苦し紛れに咄嗟に出た言葉だったり、本人も本心に気づいて無いような言葉だったり、キャラクターの“意図”を考えながら再プレイするのが本当に楽しい!!
個人的にこのゲームは2週目から本番だと思う。
感情のアハ体験!!!! って感じなので、是非プレイして欲しい。